いつもマルイチのブログを読んでいただき、ありがとうございます。
今日は「樹上レスキュー研修会」の様子をご報告いたします。
講習内容は下記のとおりです
・手持ちの道具で枝に挟まった負傷者を引き上げる
・パニック防止の為の動作の言語化
・作業のじゃまにならないレスキューロープの設置方法
ヨーロッパの樹上レスキューチャンピオン マーク・ブリッジ氏が安全作業を意識するようになった経緯を話してくれました。十数年前、事故で友人を亡くし、みんなが悲しみに包まれていた。でも、事故から半年が経つと時間の経過ともにみんな日常生活に戻っていった。そんなとき亡くなった友人の奥さんから電話があり、彼女を訪ねた。玄関に入るとそこには友人の靴が並べてあり、食器、服、本など全て亡くなった当時のままだった。
大切な人を失った遺族の悲しみは深く、苦しく、癒えることはない。この時の光景が頭から離れず、絶対に事故を起こしてはいけない。強く心に刻んだそうです。
実際にレスキュー訓練をしてみると、人を助けることがどれほど困難かを思い知らされます。訓練をする前は「リギングはそもそも危険な仕事、多少のリスクは仕方がない」と思っていました。しかし訓練後には「事故を起こしたら助からない」だから「事故を起こさない作業をする」ことに思考回路が変わりました。
樹上で気絶すると身体が逆さ吊り状態になります。
この状態が続いた時、身体にどのような影響が出るのでしょうか?
実際、逆さまになっていると苦しくて1分も持ちません。
実は、逆さ吊りの状態で2〜3時間もしくはそれ以上ぶら下がっていると、死に至ることもあります。ユタ州の男性は、洞窟の中で身動きが取れなくなり、28時間後に死亡しました。
その理由について正確な理由はまだ解明されていませんが、心臓が血液を送り出す力が弱くなり、心不全を引き起こしたことが原因であると考えられています。
逆さまになっていると肝臓や腸が肺を圧迫して、呼吸困難に陥るのではないかと説明する医師がいます。
死に至らないまでも、眼にも悪影響です。眼は液体を含んだグニャグニャの球体で、網膜に光を取り入れることで見えています。そして眼球内の液体にかかる圧力が正常でないと、眼に異常をきたすことになります。
負傷者の上半身を起こす①
脳や呼吸機能、そして眼球に悪影響を与えないように、いち早く負傷者の上半身を起こします。
負傷者の背中を押しながらクライミングロープを引き寄せる。
脚が踏ん張れないので、思うように上半身が起きてくれません。
みんな、ダイエットしてください!
チェストハーネスのカラビナはダブルロックだと使いにくいです。
焦っているので上手くゲートが開かず
ますます焦ってしまいました!
降りたら、ノーロックカラビナに変更です。
負傷者の上半身を起こす②
片足を使って負傷者の腿を押し下げるのと同時に上半身を起こします。上記の方法と比べると、簡単に上半身が起きました!
皆さん、ダイエットする必要はありません!
セルフレスキュー
ノコギリで左腕を切ってしまった!
出血が多いので地上に降りる前に止血します。
ただ包帯を巻くだけでは血は止まりません。
強い力で「圧迫」しながら包帯を巻いていきます。
しかし、片手しか使えないの、これがなかなか難しいんです。
あごで押さえたり、
胸で押さえたり、
皆さん工夫されています!
ここで使う包帯は
「倍力で巻ける」イスラエルバンテージ がお薦めです。
ロープを切るための刃物です。
一般的なナイフと形状が異なります。
この形ですと、ロープを切るときに勢い余って刃先が負傷者や自分を傷つけることはありません。
参加者の皆さんと研修を終えて。
今回も山形県、福島県、千葉県、東京都、和歌山県など
遠いところからお越しいただき、誠にありがとうございました。
次回、樹上レスキューの研修会は10月1日.2日に開催します。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
宜しくお願いいたします。